仙台ぐらし

 

仙台ぐらし (集英社文庫)

仙台ぐらし (集英社文庫)

 

「人ってのは、その土地で生きているんだよ。まわりの人間とコミュニティの中で。だから、簡単には移動なんてできねえよ。ほら、シールと同じだ」

「シールと?」

「どこかに一回、シールをぺたりと貼る。その後で、別の場所に貼り直せ、と言われてもな、そう簡単には剥がせるもんじゃない。そうだろ。よっぽど丁寧に、少しずつ剥がさないと、ぼろぼろになるじゃねえか」

「千切れちゃいますしね」

「人が、住みついた場所を離れるのは、何か大事なものをぴりぴり引き裂くようなものじゃないのか」

僕はその意見にぴんと来なかったが、曖昧に返事をする。

「丁寧にうまくやらないと、シールは綺麗に剥がれないんだ。慎重に。どれだけの覚悟がいると思ってるんだ」

 何が好きなんだろうなぁとずっと不思議だったんですが、詩的(?)な、というか、ロマンチストな雰囲気の例えを使うのが好きなのかもしれない。