希望学 ★★★★☆

希望学3 希望をつなぐ

希望学3 希望をつなぐ

地方都市の将来を考えるときに目的となるのは、
「必ずしも経済の活性化ではなく、そこに住む住民が希望を持って生活できること」
として色々な調査を行い、どういう要素が希望へと結びついているかを明らかにしている本。


釜石におけるケーススタディの形式をとってるので
データ分析の部分も多くて読み込むのは大変。
でもその分、現地調査から得られる事実はとっても参考になります。

・トラブル経験と支援ネットワーク
本章が注目するのは、それらトラブルに釜石の住民がどのように対処し、その過程でいかなる経験をしているかである。トラブルやもめごとの経験は、全体としてはネガティブなできごとであるとしても、しかし、それに対応するプロセスの中で多少とも明るい見通しや立ち直りのきっかけを見出し、少しでも納得がいく解決に至ることがあるとすれば、どのようなことが重要であったのか。そこには、微細ではあるが、地域住民の日常の経験における一つの<希望>の手がかりがあると考えられる。

・釜石に対する誇りの持ち方
上の世代は「鉄」への誇りを、その次の世代は強かった新日鉄釜石ラグビーチームへの誇りを多く語る。それらをリアルに知らない若い世代は、「自然の豊かさ」への言及が多い。(中略)釜石を離れた人たちは、最盛期のイメージで釜石を語り、人口回復のための産業開発を語る。それに対して、釜石在住の人や、若い世代は、「自然豊かな」釜石、つまり鉄が無くなった釜石を語る傾向が、相対的に強い。

釜石の存在が、他出していく若者たちのセーフティ・ネットたりうるならば、それは都市として胸を張れることのはずであり、個人の希望の実現に対して釜石という地域が果たせる役割の一つであろう。

釜石出身者の希望の形成に、地域内外での緩やかな交流が重要であるとしたら、そのようなウィーク・タイズを持っている人ほど希望を持ちやすいことが予想される。そして希望が誇りにつながるとは、ウィーク・タイズを通じ出身地域の魅力や価値を別の角度から再認識することで、同一地域出身者のあいだに誇りを醸成しやすいことを意味するのかもしれない。